ひとりが好きなあなたへ

 

 

銀色夏生さんの本は

学生時代によく読んでいた。

 

詩人のことばは

時に柔らかく、時に鋭い言葉で

寄り添ってくれる。

 

懐かしくなって

本屋でばったり出会ってしまった

一目惚れの本。

 

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ひとりが好きなあなたへ

私も、ひとりが好きです。

でも、ずっとひとりというのも嫌です。

人が嫌いなわけではありません。

好きな人は好きです。でも、好きな人は少ないです。好きな人からいつも好かれるわけでもないですし。

ひとりで好きなことをしている時間が好きです。

時々、とても落ち込むことがあります。でも、人といて嫌な気持ちになるよりはいいです。

人が嫌いではないけど、ひとりが好き。そんなあなたへ、これは出さない手紙です。

 

まさに、

 

わたしも人が嫌いではないけど、

ひとりが好き。

人といると緊張してしまうから。

 

そして

何百人、何千人という人に出会っていても

好きな人は少ない。

数は求めていないから。

 

自分のことを話すのも苦手な方で

ここに書くのは訓練のような、行のような作業に近い気がする。

怒濤のように語ることはあっても

限られた相手に対してだけ。

 

 

 

元気なふりをしたり、気を遣ったり、疲れたりするから、僕は極力ひとりでいたいんだ。たまにさびしくなるけど、僕はひとりが好きなんだ。

 こんな風に寝転んで、天井を見上げる。物の影がのびて、動物に見える。いつか、遠くの街に行きたいな。遠くの国の、見知らぬ景色の中にたたずんで、広いところを眺めたい。風に吹かれたい。

気の合う人なら、友だちになりたいな。お互いに邪魔しないようにして。時々会って。僕の好きなお店に連れてって、僕の好きな味を食べさせる。そして、その人の好きなものも教えてもらおう。

僕は、時々時ひどく沈んでしまうから、そういうところを見て、その人が引いちゃったらいやだな。だから、そのこと最初に言っとこう。それから、その人の悪い癖も教えてもらおう。そして、その悪い癖を嫌わないようにしよう。そうしたら、そのことでその人が僕を必要としてくれるようになったらいいな。その人をそんなふうに好きでいるのは僕が一番だってその人が心から感じて、僕から離れられないようになったらいいな。僕を必要としてくれたらいいな。

だれかが。

 

おかあさん、おとうさん。

こんなに心が弱く育ってしまって、ごめんなさい。

 

思うことを、そのまま何も考えずに伝えることのできる誰かに、生きている間に出会いたい。素直な気持ちで話し合える人と出会いたいな。天気が悪かったら、天気悪いねって言って、寒かったら寒いねって言って、暑い時は暑いねって言って、青空を見上げて青いねって言いたい。傷ついた記憶が、僕をときどき臆病にする。

 

あの人って素敵だなあと思う人がいる。

あの人は、なんであんなに素敵なんだろう。

とても心が綺麗。あの人の前に出ると、僕は自分がダメな人に思えてきて、身がすくむような気持ちになる。

 

明日は休みだから、お弁当を作って、誰もいないところに散歩へ行こうかな。

だれもいないところに。

 

 

 

 

坂道を上る。

夕陽が前から射してくる

虚しさをかかえ

静かな気持ちで

坂道を上る

 

街中が

夕陽に照らされる

坂の上で立ち止まる

夕陽に照らされた街を眺める

 

砂時計の砂のように

サラサラと力が抜けていく

虚しさも消えていく

 

真っ白な心で

夕陽に照らされた街を眺める

 

心に浮かんでくるものを

ひとつひとつ眺める

 

ここまで生きてきたんだ

これからも

生きていくだろう

 

この先に

何があるのかわからない

わからないけど

今 愛するものを愛して

あとは流れに身を任せよう

 

 

虚しさも悲しさも

恐れも嘘も

悪いものではない

 

孤独も憧れも

嫉妬も自己嫌悪も

 

希望と同じくらい美しい

 

 

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