Miranda July

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1974年ヴァーモント州生まれ。カリフォルニア大学サンタクルーズ校を中退後、ポートランドでパフォーマンス・アーティストとしての活動を開始し、短篇映画も撮り始める。2005年、脚本・監督・主演を務めた初の長篇映画『君とボクの虹色の世界』がカンヌ国際映画祭でカメラ・ドール(新人監督賞)を受賞、大きな注目を浴びる。2007年、初めての短篇集『いちばんここに似合う人』でフランク・オコナー国際短篇賞を受賞。2011年、2作目の長篇映画『ザ・フューチャー』および『あなたを選んでくれるもの』を発表。2015年には初めての長篇小説The First Bad Manを刊行した。2012年に長男を出産、夫で映像作家のマイク・ミルズとともにロサンジェルスに暮らす。

 

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 久しぶりに『 The Future 』を観た。

そのあとに、この映画の脚本執筆に行き詰まっていたことを本を読んで知る。

 

本の内容は

フリーペーパーに売買広告を出す人々を訪ね、話を聞くインタビュー集。

革ジャン、オタマジャクシ。手製のアート作品。見知らぬ人の家族写真。それぞれの「もの」が、一人ひとりの生活がミランダジュライに訴えかけてきた。密着して感じたことを写真に残すフォトドキュメンタリーでもある。

 

その中でとても印象的で深く残った一文は

マチルダとドミンゴに会ってからの言葉だった。

 

ネットの世界はゆるぎなく無限大に見えたから、そこに存在しないものがあるなんて考えもしなかった。写真や動画やニュースや音楽を貪る私の欲求は底なしで、でももしも目には見えない何かが消滅しかかっていたら、どうやってそれに気づけるというのだろう?ネット以前の私の生活が今と極端に違っていたというのではない。でもあの頃世界は一つしかなくて、すべてのものがそこにあった。ドミンゴのブログは今まで読んだどのブログよりも素晴らしかったけれど、それにアクセスするためには彼の家まで車で行って、生身の彼から直接それを聞くしかなかった。しかも検索で彼にたどり着くことはほぼ不可能だ。彼を見つけることができたのは、ただの偶然だった。

学術的に見れば、私の一連のインタビューは何の力もなく、『失われた映画の報告書』と五十歩百歩のおぼつかないものだ。でもそう遠くない将来、パソコンを持たない人はこのロサンジェルスに一人もいなくなって、そうなればこんな活動ももう不可能になる。人間の生の営みの大半はネットの外にあって、それは多分これからも変わらない。食べる、痛む、眠る、愛する、みんな体の中で起こることだ。でもそれらの欲求を失ってしまった自分を想像することさえ、さほど無茶ではなくなってきている。それらは時に困難を伴うし、手間もかかる。もしかしたら二十年後の私は空気や水や熱にインタビューしているかもしれない。それが大事なものなのだということを記憶にとどめておくために。

『あなたを選んでくれるもの』より

 


映画『the Future ザ・フューチャー』予告編

 

ソフィーは35歳、ジェイソンとの同棲は四年目。LAの小さなアパートで、それなりに幸せな生活を送っていた。インターネットをしたり、冗談を言い合ったり。ある日二人は、怪我を負った迷い猫を動物シェルターに運んだ。パウパウと名付ける。パウパウとの出会い。それは、突然二人に訪れた小さな小さな変化だった。パウパウを引き取って最後を看取ると二人は決めた。十分な世話を続ければ五年は生きるだろうと告げられる。「五年後には僕たちは40歳、40はもうほぼ50。そしてその後の人生には微妙な変化しかない。」パウパウに導かれるように二人の生活は変わってゆく。これまで避けてきた大人としての責任。二人は自由の喪失と人生に残された時間を意識するようになった。パウパウを引き取るまでの30日間、先延ばしにしてきた行動を起こすべく、二人は仕事を辞め、インターネットを解約する。ソフィーは〈30日間、毎日新しいダンスを創る〉ことを決めた。ジェイソンは環境保護団体のボランティアとして〈地球を守ろう〉と、木の訪問販売をしながら、これからの生き方のヒントを見出すために「注意深く、耳をすませて」日々を過ごすようになる。

 

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※映画のパンフレットで

気になったインタヴューを引用

 

Q:インターネットと、それが人間関係に及ぼす影響は、あなたの2本の映画で共に大きなテーマとなっています。この作品のソフィーとジェイソンが直面する、”ネット依存”状態にあなたはどう対処していますか?

A:インターネットなしでも一日過ごせるということを忘れないように毎日頑張っている。そういう努力はとても新鮮で、面白いの。わたしの知っている人はほとんどみんな同じ悩みを抱えている。すごいことだと思う。でも、観客に近づく方法を常に探している表現者としては、インターネットは便利でもある。ファン雑誌とVHSと郵便で革命を起こしたいと願った20歳の私が、どこかにずっといるからだと思う。だからツイートしたり、ダイレクトに反応が返ってきたりする状況に、つい興奮してしまう。それでも(この点が大事なのだけど)、じっくり考えて、時間をかけて何かに取り組もうとする自分を阻むようなものは大嫌い。だから、ツイッターフェイスブックも自分のウェブもゆっくりやっている。ソーシャルネットワークという意味では、あまり意味がないけど。
 インターネットにおけるカルチャーのポイントは、見てもらうことと、反応してもらうこと。思うにそれって、女性や女の子の得意分野じゃないかな。ティーンエイジャーの女の子は、他人に見られて自分の力を意識する。”パパやママが私をちゃんと見てくれない”という、ありがちな悩みを抱えている人は、見られる快感に簡単にハマってしまう(YouTubeで”部屋で踊る私”を検索してみれば、それがよく分かると思う)見られることはある意味、生きていく苦しさからの解放なの。見られている間は、存在しなくていいから。この映画の中で、私はインターネットのそういう側面をリバースエッジニアリングして解き明かしたいのかもしれない。ソフィーは責任を背負い込む前に、ダンスの映像をYouTubeにアップしようとする。子供のように見つめられる最後のチャンス。だからうまくできないと分かると落ち込み、思い詰めてしまう。やがて本物の子供と向き合うわけだけど、その時になってようやく諦め、シャツをかぶって踊り、大人になる。全部意識して脚本を書いたかって?いいえ。私は無意識に書くタイプなの。でも前の映画が終わってから、いま話したような問題と格闘してきた。
 
 
 
前作の金魚のシーンはお気に入り。
 

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誰でも表現する場を
インターネット上で持てるようになって
プロやアマチュアの境が曖昧になった。
すごいひとはたくさんいる。
そんな中で表現を仕事にすることの難しさ。
ミランダ・ジュライのその苦悩は著書『あなたを選んでくれるもの』に書き連ねてある。スランプだった彼女の心の内。その時に出会った人々を通じてがむしゃらにあけすけに包み隠すことなく書いている。彼女には特別応援したくなる何かがあった。
 
旦那さんのマイク・ミルズの映画も見てみたい。
本の中で少し二人の生活について触れている。
 

 

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